矯正治療は大きく分けると一次矯正治療と二次矯正治療に分けられます。小児矯正の一次矯正治療は、顎骨の成長段階にあごが大きくなるように調節し、上下のバランスを整える永久歯が生えやすい環境を作ります。顎が小さく、乳歯より大きな永久歯が生えてくると、歯が重なってデコボコと乱れて生えてしまいます。原因は、歯の並ぶスペースが狭いことです。専用の装置を使い顎の骨が正常な幅まで拡大されるため、永久歯がきれいに並ぶようにスペースを確保出来ます。
一次矯正治療では、歯並びの乱れを細かく整えるような処置は行いません。あくまで、歯が並びやすい土台作りする為の治療です。
3歳頃~10歳(乳歯列期~混合歯列期)より始める矯正治療の事です。
一次矯正治療の目標
1
不正咬合の予防
2
食べ物をかみ切る機能の確立
3
正しい発音機能、構音機能の確立
4
虫歯の発生の抑制
5
審美性(見た目の問題)の改善
6
口呼吸の改善や鼻咽頭機能の確立
1
上下2-2の叢生がほぼない。
2
上下2-2に歯間離開(空隙)がない
3
適正なオーバージェット(前歯、臼歯)
4
適正なオーバーバイト (前歯、臼歯)
5
前歯部咬合平面の傾斜がない。
小児矯正の二次矯正治療は、永久歯に生え変わってからおこなう矯正治療です。大人とほぼ同じ治療方法になります。永久歯自体を動かす治療が行われます。二次矯正治療は、永久歯が生えそろってからのスタートになるので、12〜14歳(小学校6年生〜中学生)の時期に開始します。
治療期間は症状により異なりますが、1~3年程が目安です。一次矯正治療で解決できなかった部分があれば、二次矯正治療で改善していきます。一次矯正治療から開始し、永久歯が生えてくる土台づくりを整えていた場合は、二次矯正治療の期間が短くする場合もあります。
空隙歯列とは、一般的に「すきっ歯」とよばれる歯ならびのことをいいます。歯と歯の間の隙間がある歯ならびをいいます。歯間に隙間がある場合は、前歯の突出にもよりますが息漏れをしやすくなります。特にサ行の発音に影響が出やすく、舌っ足らずなしゃべり方になってしまうことがあります。英語の発音にも影響が出ることが考えられるので、早期の治療が重要になってきます。正しい歯並びだと、歯と歯がくっついているため食べ物が挟まらないようになっていますが、中途半端な隙間がある場合には、食べ物が挟まりやすくなります。
このとき、食片が歯肉に押し込まれるため歯肉が傷つき歯周病のリスクが高まります。
過蓋咬合とは、上の前歯が下の前歯を覆っている状態のことをいいます
過蓋咬合の原因は、不適切な口腔ケア、遺伝、歯を支える骨の発達異常などが考えられます。
過蓋咬合により、歯周病や歯肉炎、また下の歯の摩耗にもつながります。
奥歯に過剰な力が加わってしまうので、年齢を重ねると歯を失うリスクが高いです。失ったときに修復しづらいのも過蓋咬合の特徴と言えます。出っ歯が酷くなりやすくなり、奥歯や顎関節に負担がかかりやすいのでその負担が肩に伝わり、肩コリを起こしやすいです。適切ではない方向に力がかかりやすいので、被せ物、ブリッジ、入れ歯などの補綴物が合わないケースが多いです。歯を失ったときに治療が困難になります。
剥き出しになるので、上の前歯は乾燥しやすいです。乾燥することで虫歯のリスクが高まります。
下顎前突とは、一般的に「受け口」といわれる歯ならびことをいいます。下顎前突により、前歯の機能が十分に果たされないため、臼歯が摩耗しやすくなります。また顎の痛みや顎関節症の原因ともなり、前歯の咬み合わせが悪いため、よく噛めない、発音や発声が上手くできない、特にサ行・タ行の発音が難しく、滑舌も悪くなるため、スムーズなコミュニケーションが取れない場合があります。下顎前突は下顎が前方に出ていることにより、顔が長く見える、顎がしゃくれたようになるなど、審美面への悪影響が大きく、コンプレックスに感じる方も多いです。
開咬とは、上下の奥歯がきちんと咬み合っているのに、上下の前歯の間にすき間がある状態を指します。ほとんどは遺伝的なあごの骨格の問題、あるいは幼少期のおしゃぶり、指しゃぶりが原因とされています。食べ物を噛みきれなかったり、発音がしにくいといった症状が起こることがあります。出っ歯や受け口のように歯が前に出ているのではなく、歯の高さが低いことで咬み合っていないのが特徴です。唇は普通に閉じることができますが、前歯で咬み切ることは難しいです。
叢生とは、歯に対してあごのスペースが足りない時に起こる症状のことをいいます。歯がアーチ状に整列せず、むしろデコボコとして重なり合って生えているという特徴があります。
治療をせずに放置すると下顎前歯の叢生がさらに深刻化し、捻転を起こすようになります。
歯が重なって生えているため、歯ブラシの毛先が届きにくい死角があり、汚れが溜まりやすくなります。そのため、虫歯や歯周病などになりやすいです。
交叉咬合は、上下のあごが左右にずれて咬み合わない症状のことをいいます。一部の上顎の歯が下顎の歯より内側に位置して生えてしまうことがあります。1本の歯に限らず、複数の歯が下顎の歯より内側に位置することがあり、特に奥歯にみられることが多いです。上顎の歯が生える過程で、何らかの理由で1本でも下顎の内側に位置してしまうと、顎の成長に伴い咬み合わせがずれることがあります。すると、顎の成長に影響し、顔の左右非対称が生じることもあります。
上顎前突とは、一般的に「出っ歯」とよばれる歯ならびのことをいいます。具体的には、横から見たときに、上の前歯が下の前歯より5mm以上出ている状態のことをいいます。
骨格の大きさや歯の大きさなどの遺伝から生じる先天的な原因と、成長期でのおしゃぶりの使用や指しゃぶり、また爪噛み、口呼吸等の生活習慣から生じる後天的な原因があるとされています。また上顎前突は、無理に口を閉じると、あごの先に梅干し状のしわができて不満そうな表情になります。子どもでは、転んだ時に上の前歯を折りやすいことがあります。
唇が閉じきれず、口腔乾燥により虫歯、歯周病を誘発しやすくなり、健康面へ悪影響をもたらす原因ともなります。
その他にも肩こり、頭痛、顎関節症など、さまざまな慢性的な病院の原因にもなります。
当院の小児矯正では筋機能矯正装置を使用し、お口周りの筋肉と舌を鍛え、歯並びを整えていきます。舌の位置のズレや口呼吸、指しゃぶりなどの悪習癖が歯並びを悪くする原因とされているので、これらを改善するとともに、顎の発育を正常に促していきます。このようにして、根本の原因にアプローチをして後戻りが起きないように歯並びを整えていくことが、筋機能矯正装置を用いた矯正治療の目的です。
プレオルソとは、口腔周囲筋の訓練(筋機能効果)を目的としたマウスピース型の矯正装置を使用し、綺麗な歯並びへ導きます。マウスピースを装着し、口の周りの筋肉と舌を鍛える事で正しい歯列へ導きます。間違った舌位置や口呼吸のような筋機能癖を正し、歯並びや顎の発達に良い影響を与え歯列を改善します。歯は適当に生え並んでいくのではなく、「舌・頬・唇の筋肉」のバランスに合わせて並んで行きます。つまり、この口周りの筋肉のバランスが悪ければ歯並びは悪くなり、バランスが良ければ理想の位置に自然と並んでいくのです。
あごの拡大法/プレオルソ矯正
対象年齢
5歳~10歳
装置
柔らかいマウスピース装着でお口の周りの筋肉を整えて歯をならべていく
特徴
痛みがほとんどない
装着時間が短い
装置を自由に取り外せる
使用方法
着けるのは、日中の1時間と就寝時
メリット
デメリット
type1
上顎前突・叢生・過蓋咬合などに使用します。上顎前突(出っ歯)は上顎の歯が前に出ている、上顎の顎骨自体も前に出ている場合もある。叢生は上下の歯がガタガタな状態、ちょうど4人掛けの椅子に3人が座る様なもの。過蓋咬合は上顎の前歯が下顎の前歯をほとんど覆うようにかみ合わせが深い状態。
type2
開咬(オープンバイト)に使用します。上下の前歯が大きく開いている状態、その間に舌を突き出して隙間を埋めようとする傾向が強くなります。
type3
下顎前突(受け口)に使用します。下顎の歯が前に出ている状態、下顎の顎骨自体も前に出ている場合もある。
下顎前突患者にはプレオルソが装着出来るのであれば3~5歳で治療をおすすめします。5歳~6歳頃始めるのがベストタイミングです。大人の歯(永久歯)が生えそろう12歳以降での効果は薄く失敗する確率が上がります。ただし、歯の生え替わりの時期や顎の成長には個人差があるため、適応年齢外でも治療を受けられるケースがあります。乳歯から永久歯に生え変わっている時期であれば、顎の骨が柔らかいので治療の効果を得られるでしょう。その他の不正咬合は6歳~10歳までに治療を勧めていますが、早ければ早いほど良いです。
プレオルソの使用方法は、装着時間は、日中1時間と睡眠時(8時間ほど)のみです。夜は装着したまま就寝しますが、このときお口が開かないようにテープで固定するなどすればより高い効果があります。学校などでマウスピースを装着する必要がなく自宅で治療できるので、保護者の方が装着を確認することも可能です。正しく使用できていなければ十分に効果が出ないので、確認しながら治療を進められるのはメリットといえるでしょう。
筋肉バランスが整うことで、歯は自然に理想の位置へ配置されます。歯並びが悪い原因は、遺伝的要因もありますが日常の生活習慣が要因である場合も少なくありません。後天的要因としてあげられるのは口まわりの筋肉のアンバランスです。しかし、プレオルソを使用すれば口まわりの筋肉が鍛えられ、舌の位置が正しく改善されるため舌癖にも大きな効果があります。指しゃぶり・うつぶせ寝・頬づえなどの悪習慣が常態化してしまうと、口まわりの筋肉のバランスが崩れ歯並びを悪くする原因になります。プレオルソは矯正装置とトレーニングでそうした原因を取り除くことができ、悪習慣を改善します。
治療名称
プレオルソ治療(小児マウスピース矯正)
治療費
187,000円(税込)
治療期間
R2年11月12日~R4年11月10日
メンテナンス頻度
3ヶ月
治療内容
患者の症状:上顎前歯部の隙間と下顎前歯部の少しガタガタしているのが気になると言う。
治療方法:プレオルソを日中1時間と就寝中に装着して貰い就寝中は装置が飛び出さない様に口唇部にテープを貼る。毎日あいうべ体操とプレオルソの装着をして貰い口の周囲の筋肉と舌を鍛える事で正しい歯列に導いてくれます。1ヶ月半毎に医院受診し経過を見てプレオルソの側方拡大を1ヶ月半毎に行う。12、11、21、22部が綺麗に並んだので、13と23部まだ萌出中であるが治療完了したいと言う希望があった。
治療結果:8歳から10歳まで2年間プレオルソを装着して行った結果上下顎前歯部は綺麗な歯並びに成りました。現在12歳に成り上下前歯、小大臼歯まで歯が綺麗に並んでいました。
治療の注意点
(リスク/副作用)
プレオルソは決められた装着時間を守らないと、口の周囲筋と舌を鍛える事が出来ないので、しっかりと装着をしないと、矯正力が掛からないので、矯正治療がきっちりと出来ません。1年生(6歳~7歳)からプレオルソ治療を行う方が良いとされています。
プレオルソは矯正治療の使用と共にお口周りの筋肉や舌もトレーニングする事で治療期間も短縮が見込まれ、治療完了後の後戻りをしにくくします。
そこで行うMFT矯正(トレーニング)とは、歯並びや噛み合わせに影響のある周りの筋肉のバランスを整える訓練です。正しい筋肉の使い方を覚えることで、歯並びが悪くなる原因を根本から改善します。当院が行っているトレーニング内容は下記になります。
あいうべ体操とは、お口の周りの筋肉を鍛える体操で、正しい鼻呼吸が出来る様にするトレーニング法と成ります。
下記の1~4の動作を1セットして1日30セット行うようにしましょう。
パフパフ法とは、矯正装置を口の中に装着しながら生活をすることで、正しい舌の動きを体で覚えることです。
舌を口蓋に押し当てて嚥下(食べ物などを呑み込む動作)できるようにすることはとても重要なことです。このようにプレオルソはお口の筋肉を鍛えるのと同時に舌の動きを矯正する装置といえます。
Galaxy Alignは、矯正関連商品を多く扱ってきたフォレスト・ワンが提案する矯正治療システムです。
従来の矯正治療のように金属製のワイヤーやブラケットは使わず、治療段階に応じてつくられたマウスピースを順番に用いて歯並びを整えていきます。独自のシステムにより、10歳前後の子どもから大人まで対応した、これからのアライナー矯正治療です。Galaxy Alignは患者のライフステージに合わせた提案を行っており、3つのプランを用意しています。
歯並び矯正法/ギャラクシーアライン
対象年齢
11歳~15歳
装置
透明なマウスピース装置(アライナー)で歯ならびを整える
特徴
一人ひとりの歯の形状に合わせて作られたオーダーメイドの透明な装置
1日の中でできるだけ長い時間、歯に装着します。確実に効果を出す為には、1日22時間以上の装着が必要です。
同じ装置を1~2週間ほど装着する。
使用方法
メリット
デメリット
条件
前歯2-2完全萌出、犬歯、第2大臼歯完全萌出前
適応
2-2に適応
プレオルソXによって治療をされたお子さんに対して「もう少しだけコンタクトを揃えたい」「上顎2番の傾斜を促したい」「空隙を除去したい」などのケースに使用するアライナーです。
「Galaxy AlignKids2-2」は、アライナーにより、混合歯列期における前歯2-2の部分を出来る限り短い期間で、アラインメントすることを目的として作られたプランとなります。永久歯萌出途中である混合歯列期に対応するためのシステム設計を行っております。前歯部配列の緊密仕上げ、上下2-2のレベリングとアライメントとローテーションだけに特化したアライナーです。
プレオルソX治療の後の仕上げに使用するアライナー
治療対象歯
上下2-2
1週間毎にアライナー交換
平均治療期間
2~3ヶ月
条件
第1大臼歯萌出後〜15歳まで
適応
5-5に適応
「Galaxy Align Kids5-5」は、プレオルソ使用後の患者さん向けに作られたプランです。
プレオルソ使用後の15歳までの患者さんを対象としたプランで、萌出途中の場合を考慮した設計、治療途中での印象採得後に新しいステップのアライナーを作製可能です。「Galaxy Align Kids2-2」と「Galaxy Align Kids5-5」は、プレオルソXと呼ばれる小児用機能的マウスピース型矯正装置と連動させた子ども向けプランです。
条件
16歳以上~成人
適応
5-5に適応
「Galaxy Align(ギャラクシーアライン)」は、小児患者さんだけではなく、成人矯正にも対応したアライナーシステムです。Forest-one Labo 東京にて作製する国内生産、国内出荷であるため、密なサポートと柔軟な対応、迅速な納期などが可能となりました。16歳以降の患者を対象としたプランで、プレオルソXを行っていない方にも対応しています。
特徴
Galaxy Alignでの矯正治療では、一人ひとりの歯の形状に合わせて作られたオーダーメイドの透明な装置(マウスピース装置)を、1日の中でできるだけ長い時間、歯に装着します。同じ装置を1〜2週間ほど装着し、その後少しだけ形の違うものに変えていきます。そのサイクルを繰り返すことで、少しずつ歯に力がかかり、歯を動かしていきます。
アライナー
装着時間指示事項
適合向上のために
毎回必ず専用のチューイをかみ込んでアライナーを押し込みます。
はめる時に限らず気付いた時にかむようにしてはまりが甘い状態が発生しない様に注意する。
メリット
デメリット
最初の半年は家にいる時は必ず装着をして頂きます。リテイナー装着6ヶ月経過後は、就寝時のみ使用して頂きます。保定装置を入れずに放置すると歯は元の場所に移動しようとしますので、後戻りをしてしまいます。
保定観察期間の診査項目
1
後戻りの管理
2
リテイナーの適合性チェック
3
側方歯群交換管理
4
犬歯、小臼歯のコントロール
Beggtypeリテイナーの場合は犬歯、小臼歯が唇側転位しそうな時に唇側線で外側から圧力をかける事によりこれを改善できる事があります
プレオルソで2-2の配列を整え、後から生えて来た側方歯群を抑えられれば2次矯正治療をしなく済む可能性が高くなります
使用例
非推奨例
プレオルソでは治しきれない歯並びを治せる
治療時間を短くできる
矯正治療後の後戻りが少ない
ワイヤー矯正と比べて費用を抑えた治療が可能
患者様(子供)と保護者の方と十分にお話(懇談)をさせていただきます。
レントゲン撮影、口腔内写真撮影、顔面写真撮影、模型採取
プレオルソについての十分な説明をいたします。プレオルソによる治療にご理解がいただけましたら治療を開始いたします。
治療開始と共に機能訓練も開始します。装着後1週間で診察。トレーナーの使用状況、機能訓練の状況を報告。機能訓練は2~3週間に1度の来院となります。
トレーナーの使用状況をうかがい、機能訓練の状況をチェックします。